『Learn Better』
― 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ
by アーリック・ボーザー、月谷真紀
感想を3グループに分けて書いていこう。
・ 3つのTip
質問(検索学習、自省、説明する、教える、小テスト)
分散学習(復習
今ある知識と教師(コーチ・ガイダンス・カリキュラム)
・ 3つの示唆
意味:私達は、知識を介して世界とつながっていく
関係性
比較(類似点と相違点、問題解決)
・ 3つの個人的に考えたこと
多様性
行動主義
イメージトレーニング
・ 個人的メモ⇔「未使用タグ」
具体例の数
2山のカード
● 3つのTip
この本を、効果的な勉強法の紹介として読みたい人はいるんだろうと思う。基本的にはそれで合っているし。だから、その観点で知識を効率的にインプットするためのTipsとしていくつか紹介してみよう。
1-1. 質問こそが脳を働かせる
傍線を引いたり、蛍光ペンでマークをすることがほとんど記憶の増強に効果を持たないこともまた、本の中で触れられている。手を動かして書き写すことや、たぶん音読することも大差なく効果が少ないのだろう。
まず最初に勉強の効果を上げるには、自分に質問をすること。
> 学習とは頭を働かせる「活動」という面が強く、積極的に関与するほど学びも深まるということだ。新しいテキストを読んでいるときは、自分に問いかけをしよう。このテキストは何についてのものか? 筆者が伝えたいポイントは何か? わかりにくいと思われるところはあるか? at location 353 <
質問、問いかけ、の他には、検索学習(思い出そうとすることの効果)、自省、説明する、人に教える、小テスト、といったキーワードが各所に出てくる。
1-2. 復習
この本は、目次というか語りの順序の最初に、「第一章 価値を見いだす:意味を自ら発見する/……」「第二章 目標を決める:…/感情管理の必要性/自己効力感…」といった項目が並ぶから、
『勉強は、楽しく、自主的に、個人的な興味の感じられることを』という本なのかな、という錯覚を抱きかける。
でも、それだけではなくて、忘却と復習についても書かれている。反復については、「コンフォートゾーンはない(難しくて当たり前という考えは学習に大切だ。これは自己効力感の発展形である。私たちは自分の努力は報われると信じる必要がある (location 1745))」といった概念ともつながりながら、もう一つの、「分散学習」というキーワードにもつながっている。
> 四日間の間、一日五分、スピーチ全文を練習するのがよいのか、(中略)それともスピーチを四つのセクションに分割して一日五分、一セクションに集中すべきか at location 4136 <
という箇所がそのキモで(4回反復練習するために、毎日通しで練習する方がいいそうだ)、他方、本書の別のセクションでは、「知識は分割すると最も効率よく学べる(location 604)」言っているにも関わらず、こちらの側面にもちゃんと触れている。
それだけの思考の深みと分野の広さを持った本だということだ。
1-3. 自分の手持ちの知識を再確認する
> その一つの手法は、あるテーマについて新しく学ぶ前に、そのテーマについて知っていることを書き出すというものだ。例えばグリル料理のスキルを磨きたい場合、「少し脂肪のついたステーキ肉を選ぶ」、「強火で焼くのがよい」、「肉汁が出ないよう、フォークではなくトングを使う」といったことを
Read more at location 1416
レベルに合った教材が重要ということでもある。
1-4. おまけ:その他Tips
指でなぞる:今度、幾何学の問題に出くわしたら──建築図面でもいい──問題の要点について理解を深める方法として、図を指でなぞるといい。研究者によると、手の動きによって図が理解しやすくなり、学習が促進されるという。 at location 1629
名前を付ける:心理学者のブライアン・ロスは、自分が発見した深部の構造を明確にしておくとよいと勧める。ロスの研究では、課題の隣に概念──つまり深部の構造──の名称を書いておくと、問題を解くのがはるかに容易になることがわかった。 at location 3242
携帯電話は「あるだけで」集中力を減退させることがわかっている。つまりテーブルに置いたiPhoneが視界に入っているだけで、タスクへの集中力が低下する。 at location 4344
〈!↑書きかけ↓!〉
そもそも、目次の見出しがお役立ちなのだがな。
テスト不安が良い例だ。テストを前にして不安を感じている学生は、親しい友人がいるほど良い結果を
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もう一つ非常に重要な要素に注目しなければならない。知識だ。私たちは今ある知識のプリズムを通して物事を理解する。だから必ず、すでに学習したことが土台となってこれからの学習を
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個人指導は他の教育法に比べて二倍の効果があると指摘し
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個人指導が効果的な理由である。いくつかの理由はわかりきっている。先生に一対一で目をかけられれば、フィードバックがたくさんもらえる。生徒の動機づけもしやすい。生徒が何に意味を感じるかが先生にわかるから
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★
個人指導に効果があるのは、生徒がわかっていることを土台にするからだ。先生は私たちがすでに理解していることに合わせて情報をくれる。イントロダクションでこれを「知識効果」
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● 3つの示唆
2-1. 私達は、知識を介して世界とつながっていく:意味
学習するとき、私たちは自分のいる世界を理解したいのだ。知識の空白を埋めたい、価値を見いだしたい。 at location 496
私たちがスキルや知識を獲得するのは経験したことを理解するため、自分を取り巻く世界に説明をつけるためである。 at location 771
専門知識を学ぶとは究極的には世界と対峙し、複雑さを理解し、思考パターンを変化させることなのだ。それは名を知られた専門家でも初心者でも同じである。「学習とは単に正解を知ることではなく、推論し説明することなのです」 at location 2910
あるテーマの裏に隠れたつながりを理解することは、ともすると学習プロセスで最も難しい部分であるが、結局それこそが学習する理由でもある。それが知識習得への道である。 at location 3102
意味の価値は脳にルーツがある。 at location 417
価値を求める生き物として進化したから、人は価値を求める。 at location 612
つながりとは、関係性。原因と結果の関係、そして類似性と相違点。点を構造化すること。先人の思考の体系を学ぶこと。
この本には、そんな哲学的なメッセージも随所に入っている。
それが、説教や激励というよりは、「同じことを考えている仲間がいた!」という感覚を与えてくれる。ありがとう、そこを言語化してくれて。
2-2.
2-3.
学習に取り組む際には関係性を理解する、つまり原因と結果を見きわめ、類似性に気づくことも必要だ。とどのつまり、学習の目的はある事実や概念についての考え方を変化させることであり、学習にあたってめざすのは思考の体系を学ぶことなの
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するだけではいけません」とリッチランドは語った。「効果的な学習を行うためには、原因、類似点、相違点を探すべき
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関係性を探す最も重要な利点の一つは、おそらくその分野の奥に潜む構造への洞察が得られることだろ
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②
③
人間という種の本質に踏み込む。つまり意味への欲求とは、多くの点で、発見への欲求なので
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探求心は「情動システムの根源」だという。パンクセップによれば、人間の情動は探索への衝動によって動く。感情は探求心のバロメーター的な役割を果たすことが
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私たちは自分が何を知りたいのかを見きわめようとしているのだとも言える。欲求を育てているの
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★
もっと問題なのは、専門知識がモノ、先生が持っていたり本に書いてあったりする、外にある何かだと思われがちなこと
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コンテキストはえてして解釈の最も重要な要素の一つである。別の言い方をすれば、学ぶことを学ぶとは、今学んでいるものが何かを知るという話なので
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良いフィードバックには必ず「先行予測」の要素が含まれているという。つまり学習で次にどこに進めばよいか、見当をつけさせてくれるの
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外見が自分と異なる人々が周囲にいると、他人の行動の合理性を無批判に信じなくなります」とレヴィンは語った。「他人の真似をするのではなく、自分の頭で考える傾向が高くなるの
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多様性は実は好ましいものではない。自分とは違う人々と関わるのは快適ではない。多くの人にとって、自分とは物の見方や経歴が異なる人々と関わるのは社会的な不安を呼び起こす。ある学術論文が端的に結論づけていたように、「多様性は摩擦の増加の要因と
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アナロジーによって類似点と相違点に
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新しいこと、今までと違うことを理解しやすくして
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問題解決とはとどのつまりアナロジーを利用した推論の一種と言えるのだ。
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大きな役割を果たすのはコンテキストで
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診断とは要するにつながりを探すこと、すなわちパターン認識
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長期間に練習を分散するかわりに、半日ですべて覚え込もうとし、大事な概念や情報を復習し
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それともスピーチを四つのセクションに分割して一日五分、一セクションに集中すべきか(薄いカードの束を四つ使って学習するのに相当する)、である。  実験に参加した被験者たちは薄い束を支持し
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★
私たちの社会は熟慮型ではない。行動が重視される。考えることは弱さの表れとみなされやすい。意思決定に時間をかける人はともすれば怠慢に見えて
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★
しかし逆の事実を示すエビデンスが多数ある。たいていはテストの答えを修正したほうが得点が高くなる。もう一度答えを考え抜くと、総じて成果は向上
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・ 3つの個人的に考えたこと
イメージトレーニングのおかげで、テイラーは自己効力感を獲得した。これは自分の能力への信頼感、きっとうまくいくという気持ちであり、学習に際しての情動の気まぐれに対処するうえで非常に重要
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心理学教授、
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★
人は成功を期待する必要があると説いた。特に、ある活動をやりとげられるとわかっていると、その活動にはるかに身が入ることにバンデューラは気づいた。
Read more at location 1662
★
自己効力感は一般的な自信とは異なる。自尊心の問題ではない。限られた特定のタスクをやりとげられる、これからやろうとしていることで良い成果を達成できるという信念を核とする概念②
③
・知っていること
・すれば学びは
・学習の質は
・学習アプローチ
・ 未使用
例を増やすのが、つながりに気づかせる強力な方法だということだ。多数の具体例を示すことによって教材が一貫性を保ちつつ細部まで落とし込まれ、知識を体系的
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★Note帰納法
アマゾンの紹介と内容
目次
イントロダクション
ダーツの実験/「究極のサバイバルツール」/体系的アプローチ
第一章 価値を見いだす
意味を自ら発見する/学びを自ら「作り上げる」/探索する種/「知的努力には伝染性がある」/意味とは学ぶこと/言語の摩滅/マインドセットの大切さ/MET研究
第二章 目標を決める
短期記憶の容量の小ささ/知識は学習の土台/学習にコンフォートゾーンはない/思考の質を上げる/思考についての思考―そして情動/感情管理の必要性/自己効力感/学習は難しくて当たり前
第三章 能力を伸ばす
モニタリング/外部からのフィードバック/苦労の本質と反復/「検索練習」/脳の可塑性/間違いの心理
第四章 発展させる
マイルス・デイヴィスの傑作/学習の発展としての議論/応用の必要性/「ハイテック・ハイ」/人に教えるという学習方法/不確実性の価値/「多様性は人を賢くする」/疑問の大切さ
第五章 関係づける
システム思考/「最大の認知上の障害」/仮定思考/ハッキング/視覚的アプローチ/アナロジーの価値/問題解決のスキル
第六章 再考する
過信/直感型思考と熟慮型思考/評価する必要性/自分に分かっていないことを知る/分散学習/内省の必要性/静かな時間/「こぶし」実験/無限のプロセス
エピローグ
ツールキット
内容(「BOOK」データベースより)
深い学びを得るにはいったい何が必要なのか?子どものころに学習困難を抱えていた著者が、多くの実証研究調査と、学びの専門家への取材を通してたどり着いた、小手先のテクニックではない本質的な「学び方」。米Amazon2017年ベスト・サイエンス書。
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